今回は「帰国子女入試は本当にお得なのか?」という多くの方が抱く疑問について、私たち親子の実体験をもとにお話したいと思います。
帰国子女入試にまつわるイメージ
帰国子女枠を設けている学校には有名校が多い?
一般入試より簡単(学力が低くても)入れる?
英語ができればほかの科目は不要?
帰国子女枠は面接と(英語)論文だけ?
現地校出身者にはさらに加算点がもらえる?
なんて、どれもこれも帰国子女が有利に合格できる特別待遇の話です。
実際にこのような帰国枠入試を設けている学校は多いです。現地で頑張ってきた子のための優遇措置です。
ということで、
わが家は本帰国時、高3になる娘の大学入試がとってもお得になると赴任前は信じていました。学校に入れない、勉強についていけないなんて想像すらしていませんでした。
帰国子女枠入試は、たいていの学校が海外在住1年半から2年以上を条件としているところが多く、英語の認定試験は英検準1級以上やTOEIC、TOEFLなどの高スコアを条件としている学校が多いです。また、本当の(本当のという言い方に語弊があるかもしれませんが)帰国子女受け入れ校では生活していた国が英語でない場合、英語以外の子女が学んできた現地語の保持資格や、現地語で試験を受けさせてくれるとこともあります。本当の帰国子女受け入れ校というのは、私の定義でいえば、同志社国際、ICUH、関西千里中央国際などほとんどが帰国の子で構成されている学校をここでは指しています。あくまで私の経験での個人的な意見です。
帰国子女入試は非英語圏の生徒にも本当に有利なのか?
さて、現地校で頑張る!って具体的にどう頑張ればいいんでしょうか?学齢が上がれば上がるほど、また英語圏でないとなると相当な努力が必要だという事は、今まで書いてきたブログでお伝えしてきたとおりですが、まずは現地になじみ、現地校でよい成績をとり、学校を休まず、課外活動ではボランティアや習い事に精を出し、スポーツで賞を得たりすることが帰国子女の頑張りとして評価されることが多いようですね。
さらに前述の通り、日本で通用する英語関連の資格取得も加味されます。具体的に言うと、現地校成績でよい判定をもらうには、現地語を理解しその学齢の内容の理解が必要、そして日本のような定期テストで良い点を取らなければいけません。
言語が違うだけで日本と成績加味システムは同じ、似ています。課外活動のボランティアや習い事は、現地の言葉、もしくは英語を理解して参加する、音楽関係の習い事だと譜面が日本とは違う場合もあります。
結局のところ頑張る=言葉を理解できていることは当然の前提で、その言葉を使ってコミュニケーションをとりながら勉強や習い事、ボランティア活動が出来、現地に溶け込めていたら頑張れた子という定義になっているような気がします。
赴任した当初はどこに習い事を申し込めば習えるのか?ボランティアはどこで活動しているのか?見つけるだけでも大変です。
その前に現地の言葉を覚えないと探しても入会できるかどうかも定かではありません。
聞いた話ですが、実際にまだ7歳のお子さんでしたが現地語が出来ず、ピアノ教室に入会を希望されましたが、拒否されたと聞きました。
私自身が感じたことは、帰国子女入試は、英語圏の現地校またはインター校で頑張れた子にはとてもお得ですが、日本人学校の子には英語の能力が日本にいる子とさほど変わらないという意味でお得ではないということ。(日本人学校の場合は、あえて帰国子女枠で入試を受けない方もいます)
さらに非英語圏の現地校に通う子には現地語に加えて英語の勉強、そ更には日本の勉強をしなくてはいけないという意味で負担は大きくそんなにお得ではないと感じます。
結局のところ、日本で頑張っている子と同じではと?日本で頑張れる子は海外でもどこでも頑張れる子なので、海外に来たから頑張れる子に七変化することはあまりないのかなと感じます。
内気な子は、海外の子どもたちの自由さに心が折れてしまう子もいます。
もちろん!海外に来て劇的に変化し活発になられる子女もおられるという事を書き添えておきます。
結局、有名私学や有名国立公立校は帰国子女の多くが狙いますので、日本の受験と同じで帰国子女枠であろうとも狭き門という事だと思います。
現に帰国子女対策塾が多く開講していますよね。
わが家の場合は、レアケースでしたのでお得でした。
というのは、まず選定した学校が本当の意味での帰国子女受け入れ校、緊急性の要する子を優先に受け入れるという学校でしたので、現地で頑張れなくとも、在住地区に日本人が安心して通えるような学校が無いと判断されたこともあり、急きょ受け入れをしていただけたという点からの結論です。
代表からの補足
旅する教育者代表の木村です。このブログは生徒の親御さんのリアルな体験談を伝えるため、加筆修正はほとんどせずにお届けしています。そのため、この場で帰国子女入試について少し補足をさせてください。
まず帰国子女入試は本当にお得なのか?という問いは、盲目的にお得だと信じている方にとって省みるよいきっかけとなると思いました。すっかり教育ママさんの感覚では、全員にとってお得ではないとのことでしたが、それはそのとおりです。現地校やインターに通う場合は特にまずは学校についていくだけでも精一杯です。身につける英語力もサバイブしていくための英語であり、それらはコミュニケーションに偏っていて、正確な文法や緻密な読解を問う傾向にある日本の英語の試験に対応できるかというとやはりそのための対策が必要です。
ただ、これも中学受験なのか、高校受験なのか、大学受験なのかによって少し様子は異なります。これらの中で一番帰国子女入試がお得なのは、間違いなく大学受験ではないでしょうか。中学や高校は入学後のカリキュラムが帰国生と一般の受験生で一緒であることが多く、かつ大学受験を見据えなければならないという意味で、どうしても英語さえできればいいとはなりにくいです。そのため、高校受験では特に英語だけで受験できる学校や英語と国語(作文や小論文を課す学校が多いのは授業についていくための基礎日本語力があるかどうかを判断したいという意図があるからです)だけで受験できる学校は限られます。
しかし大学受験の場合は英語力と小論文ができれば受けられる大学の数はかなり多くなります。文系であれば通常最低3科目は勉強しなくてはいけないところ、2科目で済み、なおかつ英語には日本にいる生徒よりも馴染みがあるという意味でやはり帰国子女入試は有利といえるのではないでしょうか。なぜこのようになっているかというと、大学の場合、必修はあれどカリキュラムは中高に比べれば自由であること、抽象的な文章の読み書きができれば大学の授業にはついていけること(文系の場合)が考えられます。
・帰国子女入試は誰にでもお得ではなく、一般入試と同じような努力は必要であること
・あえて言えば大学入試が一番お得であることとその理由は入学後のカリキュラムと目指すゴールの違いにあること
この2点を補足とさせていただきます。
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