こんにちは。
オンラインプロ家庭教師の旅する教育者です。
最近大学入試(特に医学部志望者など)の志望理由書・自己推薦書の書き方を教えてほしいと言われることが
増えたので全2回に分けてその書き方や大事なポイントをこちらにまとめておきます。
メインとして医学部志望者はもちろん、AO入試や公募推薦や自己推薦やスポーツ推薦の大学受験生を想定していますが、
志望理由書や自己推薦書の本質は高校受験でも大学受験でも就職活動でも変わりません。
大学受験生ではない方も、「大学」を「高校」や「会社」に置き換えながら読んでみてください。
なお、推薦入試でよく使われる「小論文の書き方の基本」についても記事があります。もしよければ合わせてお読みください。
参照:【まずはここから!】大学入試の小論文の書き方で一番大事な型の身につけ方
本日のおしながき
全てに共通の志望理由書・自己推薦書の書き方の基本3カ条
志望理由書・自己推薦書の書き出しの書き方と全体の構成の基本
全てに共通の自己推薦書・志望理由書の書き方の基本3カ条
1.自己推薦書・志望理由書はなにをゴールに書くか?
自己推薦書や志望理由書(以下、ここでは両者あわせて「志望理由書」で統一)の項目は学校によって様々です。
しかし、項目は違えど聞きたいことの根本は一緒です。
それは一体なんだと思いますか?
これは文章を書く時の基本としてどこでも言われていることですが、
大切なことは読み手の存在を意識することです。
そもそもなぜ学力試験という形式ではなく、志望理由書という入試を採用しているのか?
なにを期待しているのか?
どんな学生が欲しいと思っているのか?
読み手の存在を意識することなしに良い文章は書けません。
あなたの志望理由書の読み手は誰でしょう?
志望学部の教授かもしれません。
スポーツ推薦なら監督・コーチかもしれません。
第一志望の高校の先生かもしれません。
志望理由書は自分の書きたいことを書くものだと勘違いしていませんか?
あなたが志望理由書を読む立場ならどんなことを考えながら読むでしょうか?
ヒントは読み手が一番残念に思うこと、懸念していることはどのようなことかということです。
読み手のことを想像しながら、読み手の立場を考えながら、読み手の気持ちになりきって考えてみてください。
読み手が大学教授だとするならば、一番残念に思うのは期待して入学許可を出した生徒が遊びほけたり勉強をせずに期待はずれに終わった時ではないでしょうか。
医学部であれば、進級すらままならず大学の留年率を上げたり、国試の合格率を下げる生徒、不祥事を働く生徒は最低限勘弁してくれと思っていると思います。
読み手が監督やコーチなら、チームの方針やカラーに合っているか、価値観を共有できるか、入ったあと問題を起こさないか、途中で挫折しないか、チームに貢献できるかではないでしょうか。
学生さんの中には合格がゴールだと勘違いしている場合が多いですが、
教授にとってはそうではありません。
見据えているものは「入学後」のことです。
教授にとっては入学後の姿こそが「日常」なのです。
だからこそ、大事なのは最低限「私はあなたが懸念するような生徒ではありませんよ。」というアピールをし、その上で、「私はこのような価値を大学や社会にもたらせます。」というアピールをすることです。
そのために必要なのが、読み手に「期待感」と「信頼感」を抱いていもらうこと。
私はこれが志望理由書のゴールではないかと思っています。
志望理由書が1次選考の材料として使われるならば、「実際に会ってみたい」という感情をいかに抱いてもらえるか。
本選考の材料として使われるならば、「是非うちのゼミ(チーム)に入って欲しい。」もしくは「うちの大学(部)が求めていた人材だな。」と思ってもらえるかどうかが勝負です。
高校の先生方、大学の先生方、はたまた企業の採用担当者の方や経営者の方々の話を聞いても思いますが、結局のところ大切なのは、「うちの大学に入って(うちの会社に入って)活躍できるイメージが湧くかどうか」ということです。
そのために必要なのが「期待感」と「信頼感」。
ではどのようにしてそれらを表現するのか、一つひとつ考えてみます。
2.「期待感」はどのように表現する?
「期待感」を表現するための鍵は「未来」です。
「あなたはこれからなにがしたいのか?」
「あなたはなぜうちの大学に来たいのか?」
「あなたはうちの大学に来てなにがしたいのか?」
「あなたはなぜ医師になりたいのか?」
いきなりそんなこと聞かれてもと思うかもしれませんね。
スポーツ推薦の場合は明確な目的が描きやすいと思います。
映像としてありありと目に浮かべられるくらい明確に具体的にしていきましょう。
しかし、AO入試や公募推薦や指定校推薦の場合はどうでしょう?
この大学全入時代に大学に入るのに「理由」なんて必要だろうかと思うのが本音かもしれません。
入学後のことをどこまで明確に描き、答えられますか?
昔もいまもなぜこのような質問が繰り返されるのか。
それはこれから先自分で自分の人生を切り開いていく必要があるからです。
大学に入ると誰かがあなたの道筋を教えてくれることはどんどんなくなります。
あなた自身が目の前の選択肢の中から自分で選び取らないといけないのです。
選ぶためには「基準」が必要で、そのためには「ビジョン」が必要なのです。
ビジョンを持ち合わせていなければ
医学部のように受験以上に学ぶことが多く厳しい大学生活を乗り越えられません。
会社を選ぶこともできません。
会社にどんな価値をもたらせるのかのアピールをすることもできません。
聞かれて困るという方はチャンスです。
語れる「未来」を持ちましょう。
職業まで具体的にイメージできなければ、大学に入って勉強したいことでもいいです。
大学に入って得たい経験でもいいです。
それは大学に入ってから変わってもいいです。
いま考えうる自分の理想の大学生活、理想の医師をイメージするところから始めてみてください。
もし遊んでいる姿しか望まないのであれば、素直にそう言ったらいいのではないでしょうか。
推薦という制度はそういう人が欲しくないから始めたものですから、
遊びたいだけの人はちゃんと落ちて、入るべき人に合格通知が届くことになると思います。
大人しく学力で合格を勝ち取りましょう。
3.「信頼感」はどのように表現する?
「信頼感」を表現するための鍵は「過去」です。
言い換えるならば、「なにをしてきたか」です。
とはいっても派手な経歴が必要なわけではありません。
インターハイ出場とか、全国◯位とか、海外留学というのはパッと見はすごいですが、「実績」でしかありません。
AO入試や公募推薦といった一般的な推薦ならそこに大した意味はありません。
スポーツ推薦の志望理由書ならもちろんこの実績は大事です。
しかし受ける人は実績がある程度ある人たちばかりです。
どのように差別化しますか?
大事なことは「実績」よりも「経験」。
同じ授業を聞いても、成績が上る人と変わらない人がいるように、
同じ「実績」を残したとしてもそこからどれだけ「学び」へと昇華させ、
応用可能な「経験」としたかは人によって異なります。
一つの実績を通して、なにを考え、なにを学び、どんな意図を持って行動し、どんな改善をして成果へとつなげたのか。
それらが自分の中で言語化できていれば、人に自分の経験を伝えたり、
同じ失敗を繰り返さないことや、違った場面で再現することも可能です。
体育祭実行委員や文化祭実行委員という「実績」そのものはありきたりでも、そこから得られた「経験」は人それぞれなはず。
「あぁ、この子は言ったことはやり遂げる子だな。」
「ただ未来(希望)を語っているだけじゃないんだな。」
そう思わせるのは、例えば「私には目標達成能力があります!」という”現在形”の言葉ではありません。
「私にはリーダーシップがあります!」という”現在形”の言葉でもありません。
具体的に実践してきた”過去形”の言葉です。
本当に目標達成してきたならば、本当にリーダーシップがあるならば、
それらを裏付ける具体的なエピソードがあるはずですよね。
これはスポーツ推薦でも同様。
実績のある人間が受けるからこそ、NO.1でない限り差別化はできません。
実績で劣ると思ったら、そこから得た「学び」や「経験」でいかにチームに貢献できるかアピールしてみてください。
エピソードが具体的であればあるほど、「信頼」は高まります。
志望動機の書き出しの書き方と全体の構成の基本
志望理由書の書き方の基本3カ条はご理解いただけましたか?
基本はわかっても、具体的に志望動機の書き出しの書き方と全体の構成の仕方を教えてくれーという声が聞こえてきそうなので簡単に触れておきます。
簡単です。
書き方の基本を端的にいうと【期待感】→【信頼感】→【期待感】の順番で書くことです。
つまり、【未来】→【過去】→【未来】の順番で書くということです。
未来だけでは、いままで散々見てきた「口だけの人」だと思われてしまいます。
過去だけでは、ともに歩んでいくビジョンが見えません。
両方必要なのです。
大切なのは読み手の感情を想像することです。
「おぉ、これは期待できそうだ。」【未来を語って期待感を抱かせる】
↓
「でも、本当にできるのか?口だけじゃないのか?」【未来だけだと不安】
↓
「確かにこの生徒なら信頼できるかもしれん。」【過去の実績や行動や経験で信頼感・安心感を得る】
↓
「この生徒と実際に会ってみたい。」「この生徒が欲しい。」【再度未来を語り、ともに歩むビジョンを描く】
書くという行為は主観的です。
書いたら一度読み手の気持ちに立って読み返してみることをオススメします。
いかがでしたか?
前半はここまでです。
志望理由書というのは高校受験でも大学受験でも就職活動でもその本質は変わりません。
今回お伝えしたかったのは、
- 読み手が求めているものはなにかを意識すること
- 読み手は「合格後」を見据えている
- 「期待感」×「信頼感」が合否の鍵
- 「期待感」は「未来」を語ることで生まれる
- 「信頼感」は「過去」を語ることで生まれる
- 全体の構成の基本は「期待感(未来)」→「信頼感(過去)」→「期待感(未来)」
- 読み手の感情を想定しながら自分の志望理由書や自己推薦書は読み返そう
ということでした。
参考になっていたら幸いです。
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またこの記事の続きとして具体的に書くとなったときの注意点をまとめておきました。そちらもあわせてご覧ください。
また、実際の自己推薦書の例文を見ながら、どのように改善したらいいのかが知りたいという方にはこちらがオススメです。
▶【自己推薦書の例文あり】志望理由書を推敲するときに意識すべき5つのチェックポイント
小論文の書き方に悩んでいる方、書き方の基本を知りたい方に読まれています。
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